送風機の事故事例 その-2
前回に引き続き、化学工場などで送風機の事故のパターンで代表的なものを紹介する
潤滑油が関係する事故だ
送風機は高速で羽根が回っている
送風機の羽根は高速で回転している。羽根を支えるベアリングへの注油は大切である。
羽のバランスがくずれれば異常振動を起こすからだ。
こんな事故事例がある。製鉄所の送風機が引き起こした事故だ。
製油所のボイラーに空気を送り込む送風機の異常振動による事故だ。
ボイラー運転中に空気の流量計が突然流量低下の警報を発した。
状況がわからず現場に行ってみると送風機近くで火災が起こっていたと言うのだ。
事故の原因は、送風機の回転軸を支えるベアリングの潤滑油不足だ。
ベアリングへは潤滑油を入れた容器から配管がつながっていて潤滑油が不足すれば自然に送られるシステムになっていた。
ところが、配管を固定していなかったことにより送風機の振動がいつも潤滑油を入れる容器に伝わっていた。
容器は長い間振動により揺らされていたため、ある時容器の底にあるドレン弁という弁が緩んで外れてしまった。
この為、潤滑油が外に流れ出てベアリングに油がいかない状態になっていた。
しかし、それに気づかなかったためある時ベアリングが破損して破片が吹き飛んだ。
吹き飛んだ金属の破片は漏れて流れ出ていた潤滑油に触れて潤滑油が自然発火してしまったのだ。
この事故は新設時の段階で配管のサポート(支持)をきちんと設置していなかったことが発端ではある。
しかし、機械という物は設置した後のメンテナンスが大切だ。
定期的に現場をパトロールして潤滑油容器周りの振動を点検していれば防げた事故である。
高速で運転される回転機械は、振動の変化を上手に把握して事故の未然防止を図って欲しい。