「バイパス配管」が引き起こす事故

色々な設備には,バイパス配管と呼ばれる配管が取り付けられていることが多い
例えば、スタートアップの時は汚れた液が流れる場合は本来の配管を汚したくないためにバイパスする配管を取り付けることがある
バイパス配管は、正常な運転になれば流さないように弁をしっかり閉じて流れないようにするのが一般的だ
こんな事故事例がある。触媒を流す流量計の脇にバイパス配管が取り付けられていた 反応器に触媒を送る配管ラインだ
定期修理中は、流量計を保護するため洗浄用の液はバイパス配管側を流していた
いよいよ,運転開始と言うときにこのバイパス配管側の弁を閉めるのを忘れた
装置の運転を開始し,触媒を流し始めたところ流量計の指示はあまり増えなかった
規定の量を入れようと流量計のバルブを開けていったところいきなり反応器内で異常反応が起こったという事故がある
事故の原因は,パイパス配管の弁を閉め忘れていたため流量計の指示量以上に大量の触媒が反応器へ流れ込んだからである
バイパス配管側を通って想定外の量の触媒が反応器へ送り込まれ異常反応が起こった事例だ
流量計の指示の8倍もの触媒が流れ込んでいたという 結果として、反応器の温度計の針は500度を振り切れていたという
異常に気づくのが遅れたのは、反応器の温度警報ヒューズが切れていたことも原因だ
つまりヒューズが切れていたことで、温度異常警報は鳴らなかったのだ
反応器からの安全弁から吹きだしていた白煙を見て始めて異常に気づいたという
幸いにして爆発はしなかったが、もう少し発見が遅ければ大災害になった事故だ
この事故の教訓は「バイパス配管の弁の閉め忘れ」が思わぬ重大事故を引き起こすと言うことだ
HAZOPでもどれだけの人が,バイパス配管を意識しているのだろうか
ぜひ、HAZOPでは計器のバイパス配管があれば,このような事故がおこると考えて欲しい
トラブルが起きれば、温度警報が必ず鳴るはずだと安易に考えないで欲しい 温度計が故障していることもあるはずだ
いつも警報が鳴るとは限らない 過去の事故事例の中でも,警報を聞き漏らしたという事例も多い
「バイパス配管」は危険源と思って欲しい
施錠するか、チエックリストをつくってしっかりと管理して欲しい

 

2020年07月27日