安全に緊急停止出来る設備になっているか

装置を停止するときは、「通常停止」と「緊急停止」の2つの方法がある
今から20年前の1998/12/20日にDCSを用いた茨城県鹿島にある最新型のゴム製造工場でこんな事故が起こっている
ゴムをベルトコンべーアーで移送するダクト内で火災が起こった
消火設備を作動させたがうまく作動しなかった
この為、停止ボタンを押したがゴムを移送するベルトコンベアーはすぐには停まらなかった
結局機械は停まらないので、ダクト内のゴムが全て燃え尽きるまで火は消えなかったという事故だ

なぜ、ベルトコンベアーがすぐに停まらなかったというと問題は設計ミスだ
つまり、停止機能の設計に問題があった
運転者側は、計装設計者に要求したのは通常停止機能だけだった
停止ボタンを押せば、プロセスの上流側から、下流側に時間をかけて安全に順次時間をかけて停止していく方式だ
今回火災が起こった場所は、プロセスの下流側に位置している設備なので、停止ボタンを押してもすぐには停まらなかったのだ

「緊急停止」という機能は要求が無かったのですぐにベルトコンベアーは停まらない設計になっていたという
この事故を受け、多くの企業は装置の停止について「緊急停止もできる設計」になっているかを全面的に見直したそうだ
製造装置の個別部分がすぐに緊急に停止出来る設計にもなっているかを点検したという

装置という物はどんなトラブルが起こるかはわからない
いざという時に単独で緊急停止出来る設計になっているか自分のプラントも検討してみて欲しい
特に回転する機械は、人が巻き込まれることもある
法律でも緊急停止ボタンを要求している
停止という言葉には「通常停止」と「緊急停止」の両方の意味合いがあると考えて欲しい

 

2020年08月11日