連続系のHAZOPとバッチ系のHAZOPの違い
HAZOPというリスク評価手法がある。日本では1980年代から導入されたものだ。
日本のコンビナート地区では、1973~1974年にかけ事故が多発した
これを受け多くの企業が、事故を未然に防ぐシステムとしてHAZOPを導入したのだ
最初は大手の化学企業や製油所が導入を始めた
近年リスクという言葉がすごく使われてきている。中小化学企業でも、HAZOPが着目されるようになったのは高圧ガス認定制度だ。
このお墨付きをもらうと、化学プラントは定修期間を大幅に延長できる。
通常化学プラントは、1年間動かしたら停めて官庁の検査を受けることになっていた。
ところが、1980年代から、安全体制の整った高圧ガスを取り扱う化学工場は2年又は4年連続運転できる制度が導入された。
いわゆる自主保安という制度だ。高度な安全体制が整った企業にはインセンテイブを与えてくれるというものだ
HAZOPを行ってプラントに潜在しているリスクを発掘できていれば事故の確率は減るからだ
HAZOPというのは、化学プラントに潜在するリスクを見つけ出し事故の芽を絶つことができる有効な安全性評価ツールだ
HAZOPの基本的考え方は実に簡単だ 「ずれ」を考えればいいのだ 運転中に起こるずれがどんな悪さをするか考えるのだ
たとえば、流量であれば流量のずれだ。流量が増えたらどんな悪いことが起こるのかを考える
流量が減れば、どんな危険なことがおこるのかも想定する。流量がゼロになったらどうなのか、逆流も考える
流量が終われば、温度、液面、圧力と順番に評価していく
次に、今ある設備で想定しうる危険なことが防げるのかを考える。 今の設備では対応できなければ設備を追加する
必要なレベルまで、リスクを低減し事故の確率を減らすのだ
化学プラントには、連続系とバッチ系と呼ばれるものがある。その違いは、人の介在する度合いだ
連続系は人のミスの度合いは低い なぜなら、連続系は機械がかなり仕事を自動的にしてくれるからだ
バッチ系はそうはいかない 人がバルブを開けたり閉めたり手作業の仕事が多い
そうなると、人が起こすミスをずれとしてチェックしておく必要がある
例えば、バッチ系は手動弁が多いから、人が弁を開けなかったというのもずれになる いわゆるNOというガイドワードだ
弁を開けるタイミングが遅れたというのもずれだ。タイミングが早すぎるずれもある。遅すぎるというずれもある
このように。連続系とバッチ系のHAZOPの違いは人のずれ要素をどれだけ入れて考えるかの違いだ
人に関わるずれを、バッチ系では重要視して欲しい