20年前のタイヤ工場の大火災-事故が続いた年

約20年前の2003年という年は、大きな事故が続いた特異年と私は考えている
http://www.bo-sai.co.jp/tankkasai.htm

大きな事故の一つとして、2003/9/8栃木でタイヤ製造工場で大火災があった
http://www.shippai.org/fkd/cf/CZ0200722.html
無許可で行われた火気工事が発端だ
近くにあったタイヤ製造に使う可燃性薬品に燃え移り、どの後タイヤにも延焼して大火災となった事故だ

タイヤなどのゴムの燃焼熱は、木材の3倍とかなり大きい。 ゴムの燃焼熱は、ガソリンとほぼ同じだと考えれば良い
ゴムが燃え始めれば、かなりの発熱量になるわけだ
保管していた15万トンのタイヤなどが2日間燃え続けたという 住民の避難も余儀なくされたという

直接原因は、火気工事だがこの事故には多くの間接要因がある
1989年に日本ではバブルがはじけ不景気になった この為、1990年代は企業経営がどこでも難しかった
この企業も、1997年に57才の早期退職を実施して、ベテラン層が会社から沢山いなくなっていた

2000年に入っても景気は回復せず、企業経営は厳しかった
1990年代後半から2000年代前半にかけては、いわゆる団塊の世代という、経験豊かな従業員が大量に会社を去り始めた時代だ
若い人達だけが残り、ベテランはいなくなった時期が2000年代だ 不景気で新卒者も採用されず技術伝承はうまくできない時代だ
この結果、ゴム火災の怖さなども若い世代にはうまく伝承できていなかったのだろう

タイヤ倉庫内も、防火シャッターが整備されていなかった 設備投資の予算もなかったのかも知れない

2003年に頻発した事故を受け、当時消防庁や経済産業省などが通達を出している
経営合理化だけを優先させず、安全に対して経営がもっとリーダーシップを取れと指示している

経営トップの安全に関する積極的なリーダーシップを強く求めるようになつたのはこの時代だったと言える
安全にはお金がかかる 人事権とお金を掌握しているのは経営者だからだ

2020年09月10日