なぜ事故は減らないのか-人材 社会的背景

これだけ技術が進歩してきているのになぜ事故は減らないかという質問を多く受ける
答えは簡単ではないが、時代の変遷や社会環境が影響する

事故を減らすには二つの要因がある
一つは事故の予兆を早く知る人材がどれだけいるかだ。多くの事故を経験していれば、事故の予兆に気づく。
つまり事故が起きる前に手を打てる
そうは言っても、多くの事故やヒヤリを経験しないと事故を予兆するのは無理だ
今時は、団塊の世代と呼ばれる事故などを多く経験した年代の人が企業には少ない
つまり、事故を経験したことがない人が企業に多数を占めているのだから事故の予兆を感じるのは難しい

もう一つは、安全投資だ 事故を防ぐには、お金がかかる 安全装置や安全対策などにお金がかかる 教育とてお金もかかる

1990年頃から日本はバブルがはじけお金がなくなった この頃は人も採用しないから、技術伝承がうまくできなかった
安全投資もできなかった つまりハード的な対策も進まなかった それが、30年後の今でも尾をひいている

1990年代後半から2000年代前半は、事故を沢山経験した団塊の世代が早期退職などで急速に会社を辞めた
企業は人件費削減のため、早期退職を勧めたからだ。 結果として、優秀な人から先に辞めていった
2000年代、政府は、再雇用政策を導入しベテラン層の退職を抑えようとしたが再雇用は5年の定年延長だ
5年しか持たなかった
結果として、2010年代に化学企業で事故が多発した

技術は人に有りだ 人から人へ技術は移っていく 急速に人を減らせば、技術伝承はうまくいかない
ベテラン層が急速に減ったことも事故防止には歯止めかからなかった

AIやIOTやビックデーターなどが提言されている
有効なツールであるが、使いこなせる人材を企業が豊富の持てる確証はない
普通の人間のスキルをいかに伸ばせるかだ
過去の事故事例教育など、当たり前の教育にも力を入れて欲しい

 

 

2020年09月23日