繰り返すタンク負圧変形事故

タンクは液の出し入れで絶えず呼吸する
液が流入してくれば、圧力が上がるので内部のガスは放出されるようになっている
液が出ていけば、内部の圧力は減っていくので、負圧になら無いためにはガスを吸い込ませる仕掛けがある

タンクの上部には大気放出管というタンクが呼吸するための部品がある
タンク内の圧力が負圧なって変形したり、圧力が上がりすぎないようにガスを適当に出入りさせる装置だ
この装置があるおかげで、タンクは通常変形することはない
ところが、そこが詰まると圧力が逃げないのでタンクが破裂したり、負圧になり凹むことになる
先日、この種の事故事例の報告書を見つけた。2018年に起こった製油所の潤滑油タンクの凹み事故だ
http://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/magazine/193/kikenbutsu_jikokanren_info.pdf
タンクは、設置してから約半世紀のかなり古いタンクだ
長いこと放出管に設置していた金網の詰まりを点検していなかった為、ある日突然音を立ててタンクが凹み変形した事故だ

事故の報告書を読むと長いこと金網の部分は点検していなかったようだ
材質はステンレスだから腐食したわけではない 貯蔵していた油分から発生する成分が酸化して固化付着していたようだ

なぜ長期間点検しなかったのだろうかと疑問に思うのだが、そこについては報告書は触れていない
石油精製企業であれば、当然放出管の所には金網があるのは承知している
金網が詰まれば、こうなるのは十分わかっているはずだ

ならなぜ点検しなかったのだろうと憶測したくなる
放出管はタンクの中央部にある。そこに人が到達するには、薄いタンクの天板の上を歩かなければならない
万一腐食があればタンクの天板を突き破り人がタンク内に転落するというリスクがある
設置後50年も経過しているタンクなら、当然そのリスクがある
放出管を安全に点検にいけるような丈夫な歩廊が設置されていれば定期的に点検に行かせるのだろうが現実そうでは無いのだろう
タンクの天板はそれほど丈夫ではない 腐食すれば人も落ちる。放出管は点検させたいが転落のリスクがある
日本中の企業が今悩んでいるのではないだろうか

 

2020年11月29日