急激な温度変化が引き起こすフランジからの漏れ火災
定修前の脱液作業で液を抜き出す作業はかなり多いはずだ
時間的な余裕があれば、時間をかけてゆっくりと抜き出せる
とはいえ、段取りが悪かったりして時間的に余裕が無いと早く抜き出したい思うのが人間の常だ
こんな事故事例がある。熱交換器の中の液を抜き出したが,完全には抜けきれなかった
そこで気体を入れてその圧力で残液を押し出そうとした
しかし,熱交換器の中に残っていた液は、まだ320度と高温だった
抜き出しに使った気体は,温度が50度だった。温度差は270度もあることになる
温度が低い50度の気体を使って液を押し出し始めた
下流側のフランジの所は,最初は温度が320度の流体が流れていた
しかし,50度の気体と混ぜ合わさることで急激にフランジを流れる流体の温度は下がり,200度に下がっていた
つまり,フランジ部が元々の320度から200度まで急冷された状態になっていた
当然,フランジ本体やガスケットは金属だから収縮した
金属というのは均等に収縮するわけでは無い。冷え方にバラツキはでる
フランジのボルトの締め付けトルクもバラツキがあれば、どこかで部分的な隙間ができる
この結果、しばらくしてフランジから油が急激に漏れ始め、保温材の中で蓄熱し高温部で火がついたという事故事例がある
流れる温度が急激に変化したことにより、フランジ部で起こった漏洩事例だ
配管のフランジ部は急激な温度変化では、熱膨張や熱収縮が原因で漏洩事故が繰り返し起こしている
こんな類似事例もある 定修前の反応器温度を下げるときに温度降下スピードが早すぎてフランジから漏れた事例だhttps://www.khk.or.jp/Portals/0/khk/hpg/accident/konbi_soku/2017-132.pdf
定修時の温度を下げる操作や、脱液操作、,スタート時の昇温は時間的な余裕を見て作業手順書を作り慎重に行って欲しい
たとえば一時間当たり何度以内の温度降下なら安全範囲なのか考えて欲しい
金属は急冷させると歪んで事故が起こると言うことだ