保温材下腐食-GUI(Corrosion Under Insulation)

化学プラントの老朽劣化に関係する講演をすることがある
ネットで色々な文献を探していると参考になる情報も多い
省エネを目的として、色々なところに保温材が使われている
金属を保温材でおおってしまうと、保温材の内部で腐食が進行していても気づかないことも多い
保温材下の外面腐食はGUIと呼ばれる(Corrosion Under Insulation)
保温材の雨水などのしみ込みによる腐食に関して参考となる情報があるので紹介する
http://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/paper/r_1/1rijityou2.pdf
徳山にある企業の方が、工場での経験を通じて得られた知見を書かれた文献だ
一般的に、保温材へ雨水などの浸入による外面腐食は10年に1度程度点検していれば防げると言われている
そうは言っても、運転温度条件も違えば腐食率も変化してくる
保温材の中に含浸する塩素分なども影響を与える 保温材メーカーも様々だ、保温材もグラスウールや、ロックウールケイ酸カルシウムなど色々だ
この論文では、次のことが提言されている
1.保温材中の塩素分は、腐食速度に影響を与える、塩素などの含有量がしっかり管理されているメーカーの保温材を使え
2.温度変化のないものと、昇温高温を繰り返す設備の配管は分けて管理せよ.温度変化のあるものは、塩素分が濃縮され腐食速度は大きいからだ
3.突起部は、平坦部に比べ腐食速度は速い。突起部は6年、平坦部は12年に一度塩素濃度を計測しろ。管理値を越えたら保温材を交換せよ
4.台風で塩害を受けたら、点検周期を短縮して検査せよ
5.塗装の有無で腐食速度は変わる.特にオーステナイト系ステンレスは溶接部、加工部等残留応力が高いところの塗装は有効だ
たかが保温材が原因で起こる腐食と思わないことだ
きちんとした考え方に基づいて点検を進める必要がある
とても参考になる文献だ
腐食という問題は奥が深い

 

2021年03月03日