1980年代に化学工場で起こった重大事故--縁切り不完全
1970年代はコンビナートで事故が多発したのを知っているだろうか
特に1973年には事故が多発した。毎月のように各地のコンビナートで大きな事故が起きていた
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hpi1972/12/4/12_4_184/_pdf
これらの事故を受け、消防法などは全面改定され法の強化が進んだ。併せて民間企業なども積極的に事故防止を図ったのが、1970年代後半だ
事故は10年毎に大きな事故が繰り返すという
1980年代に入った1982年に立て続けに化学工場で事故が起きた。その中から、2件紹介する
詳細はダウンロードして見て欲しい https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/21/5/21_305/_pdf/-char/ja
安全工学という学会誌の情報だ
1件目は、運転中にタワーの熱交換器が詰まり、縁切りして熱交換器の清掃作業中に爆発した事故だ 1982/4/12水島コンビナート事故だ
教訓は何かというと、縁切りを弁一つで行っていたことだ。16Bの太い配管で、仕切り板は入れてなかった。
設計段階から、仕切り板を入れる為に作業台などの設備などを予め用意していなかったためだ
大口径の弁1つで縁切りだから、ガスはタワーに漏れ混んでいた。ガスの検知の手順書も定めていなかったからタワー内へのガス漏れを検知できなかった
熱交換器も、当初清掃のみの予定だったが、変更して詰まったチューブをガスで切断する火気工事にを行った
熱交換器内に窒素パージはしたが、窒素パージ用配管付近が熱交換機内にたまった樹脂状物資が付着していて完全に内部置換できていなかった
可燃性の残液が内部に残っていて、最初に熱交器内で着火爆発が起こり、その後タワー底部の残ガスに着火爆発した事故だ 協力会社に死者が出ている
2件目は、停電で緊急停止し後、再スタート作業中に残ガスが排ガス焼却炉に流れ爆発した事故だ 1982/5/26水島コンビナート事故だ
排ガスを処理する焼却炉が関係する事故だ.緊急停止で、焼却炉は停止したものの炉内はかなり赤熱状態で温度は高かった
反応系と排ガス焼却炉は大口径の排ガスダクトでつながっていたのに、完全に縁切りはされていなかった
時間の経過とともに、可燃性残ガスが炉内に流れ込み、結果として炉内がまだ高温だったため着火爆発した
停電で緊急停止した際に、排ガス炉との縁切りが確実でなかったのが事故の要因だ
HAZOPでも緊急停止時の非定常HAZOPでは、炉との縁切りが確実であるか検証して欲しい 火は消えていても炉内温度は高いので着火危険性はあるからだ
いずれの事故も「縁切り」を甘く見たことによる事故だ
縁切りという言葉を大切にして欲しい