純酸素の安全弁事故-耐圧気密テスト 断熱圧縮現象
酸素を取り扱うことがある たいていは、純酸素だ。濃度100%近くの酸素を取り扱うことはあるはずだ
酸素は、支燃性物質だ。支燃性とは、ものを燃やす能力があることだ
安全弁は定期的に検査をする 検査が終われば、気密試験をする
検査時に不燃性の窒素を使えば発火する事故は起こらない。ところが、実ガスを使うことも許されているので酸素を使うこともある
このときに、気おつけなくてはいけないのは断熱圧縮による温度上昇だ
バルブをゆっくり開ければいいのに、急に開けると気体がものすごい高温になる
酸素ボンベなどは、バルブを急に開ければ断熱圧縮で800℃から900℃くらいまで上がるという
この温度ならたいていの物質は発火点を超えるから着火する
高圧ガス保安協会の事故報告書にこんな事故がある。参考にして欲しい
https://www.khk.or.jp/Portals/0/khk/hpg/accident/jikogaiyouhoukoku/02-09_2018-113.pdf
小型の安全弁の定期点検をした時に起きた事故だ。圧力は20MPaと高圧だった。異物が詰まっており清掃したのだ
異物を除去した際に、本来使用してはいけない、可燃物である有機溶剤を用いていた 有機溶剤は燃えやすい物質である
酸素のラインでは、使ってはいけない物質などに使用したのだ
その後、安全弁を本体設備に組み付けて酸素で気密試験を始めた
本来は、本体側の圧力は一度脱圧して圧力を下げておくルールなのにそれを怠っていた
安全弁の手元弁を、一気に開けたところ安全弁が赤熱し始めた 安全弁の金属部も溶け始めやけどをしたという事故だ
安全弁の中の弁シートはポリアミドイミドというエンジニアリングプラスチックが使われていた.発火点は300℃だから断熱圧縮があれば十分燃え始める
さらに有機溶剤を使って洗浄していたから火がつけばそれも助燃剤となる
その上、高圧の酸素は支燃性だから激しく物を燃やし、結果として1000度近くなり金属本体部まで溶けたというわけだ
バルブはゆっくり開けろだ 断熱圧縮現象による温度上昇を甘く見ないことだ