自動弁だけで縁切りするな--自動弁は突然動くことがある

縁切りという言葉がある。化学工場であれば、危険な物を遮断するという意味だ。例えば弁を閉めて縁切りをする
こんな事故がある。定修中に工事をしていた。その工場は一酸化炭素というガスを取り扱っていた。
人が吸い込むと中毒になるガスだ。当然、企業としては労働災害が起きないように管理する必要がある
ところが、この企業の管理者はこの危険なガスを遮断するのに自動弁だけで縁切りしていた
自動弁というのは突然開くことがある。停電や誤って弁の開閉スイッチを作動させれば自動的に開いてしまうリスクがある
たとえ開かなくても、バルブは漏れるという原則がある。わずかに漏れることがあるのだ
この企業は定修中ではあったが一部の一酸化炭素を取り扱う工場は動いていた
この結果自動弁からわずかに一酸化炭素が漏れ出し現場で作業していた作業員が死亡した事故だ
2003/7/9に起きた事故だ http://www.knak.jp/flashnews.htm#release
事故から半年後、法令によりこの企業の課長や係長が送検されている
2004/2/13、労安法(有毒ガスによる健康障害防止義務)違反容疑で、工場係長(34)と法人を書類送検
係長は定期点検中プラントの運転管理責任者だったにもかかわらず、外注先社員がプラント内で、CO生成設備の不純物除去装置を清掃する際、COが流れ込まないようにバルブを二重に閉めるなどの必要な措置を怠った疑い
係長は現場に立ち会っておらず、作業した外注先の社員に具体的なバルブの構造なども伝えていなかった
2003/10/31業務上過失致死傷容疑で、定期点検の工事統括責任者の同社保全課長ら社員3人と外注先の社員1人計4人を書類送検している
事故を起こせば、企業の管理者も労安法や刑法で罰せられることがあると言うことだ
昨日も、駐車場でCO2消火設備が作動して現場で作業していた人が亡くなっている。今のところ原因は不明だが、元弁を閉めておらず自動弁が作動したのかも知れない。https://mainichi.jp/articles/20210415/k00/00m/040/427000c
このような事故を起こさない基本は、仕切り板を追加で入れるか、弁は2重にして中抜きをして確実な縁切りをしておくことだ
自動弁だけで縁切りしないで欲しい

 

 

2021年04月16日