事故や災害に思う
高圧ガス保安協会が発行している協会誌「高圧ガス」2月号に過去の事故事例に学ぶという特集記事が出ていた。1992/10/16に起きた千葉県袖ケ浦市の製油所の熱交換器の事故が書かれていた。熱交換器に関しては日本最大の犠牲者が出た事故だ。10人という死者が出た事故だ。
それにしては、あっさりと書かれている。事故事例に学ぶという企画にしては、あまりにもあっさりとした文章だ。
この事故は日本の産業界にとって実に貴重な事故だ。反応器の事故は多くの犠牲者が出ると思っている人が多いが、反応器では犠牲者の数は少ない。むしろそれ以外の装置のが犠牲者の数は多い。なぜなら、反応器は危険だと誰でも考えているから多くの安全装置を備え、事故に対する備えが多いからだ。
それに対して、熱交換器は誰でもそれほど危険と考えていない。だから事故が起こる。
2014年に起きた四日市の熱交換器爆発事故もしかりだ。この事故でも5人が亡くなっている
話を元に戻すが、過去の事故事例に学ぶと言うなら、この記事での論点は本来なぜ一度に10人もの犠牲者を出したかという所に論点を当てなければいけない。一度失った命は、二度と戻ってこない。企業が、力を入れなければいけないのは死亡事故だ。
この記事は、事故の当事者が書いているわけでは無い。過去の事故報告書を読んで書いていると思われる。事故の事実を知らない人が、自己の本質を書くのは難しい。
多くの事故を経験した人が自ら語っていくことが、事故から学ぶことを伝えられるのでは無いだろうか。
団塊の世代がもう少し頑張って情報を発信して欲しい。事故の教訓を伝えられるのは、事故を自ら経験した人しかいないからだ。