HAZOP-ずれをキーワードに使う安全性評価手法

安全性評価手法でずれを使う手法がある。HAZOPと言う手法だ
化学工場での安全性評価手法として使われ始めたのは1980年代だ
手法は実に簡単だ。正常の運転状態や、通常の状態より何かずれが起これば、それが致命的な事故につながらないかを考えるのだ
化学工場では、危険な設備として反応器がある
もし、反応器の温度が上がるという「ずれ」が生じればそれが、事故につながっていかないかを考えるのだ

ずれは、色々な原因で起こる。反応器に冷却水を供給するポンプが停止すれば、反応器は冷えなくなるので温度が上昇するというずれは起きる
この時の、ずれの着目点は温度だ。温度が、上昇するというずれだ。

ポンプの停止ではなくとも、流量を制御する自動弁が突然故障して閉まってしまえば、冷却水が流れなくなる
結果として、反応器の温度が上昇し事故になるかも知れない

ずれが起こるのは、一般的に機械が故障するからだ。機械が故障しなくても人がミスをすることもある
機械の故障か、人のミスで色々なずれは起こる
このずれがこっても、何事もなく火災や爆発事故にならなければいいのだがそうはいかない
結果としてずれが、事故につながる
ならば、ずれを考えて、そのずれが悪いことを引き起こすのか、それとも現状の安全装置で事故に歯止めをかけれるのか検討しておくことが大切だ
HAZOPと言う手法は、人のミスや設備でおこるずれを考える。温度や圧力などが正常範囲からずれたらどうなるのか
人が、手順書通り作業をしなかったら、事故になるのかなどを考える

HAZOPで難しいのは、このずれをどれだけ抜けなく考えられるかだ
更に難しいのは、ずれが起きたとき、どんな悪いシナリオになるのか想定できるのかだ
経験の度合いにより、ずれから発生する、最悪のシナリオ作りには個人差が出る
最悪のシナリオを想定できなければ、対策は甘くなる

安全性評価のシステムはあっても、最後は人の能力だ
こつこつと、過去の最悪の事故事例を学んで欲しい

 

 

2021年07月02日