不活性ガスの再利用が引き起こす事故
可燃性ガスをパージするときに不活性ガスが使われる
代表的なのはチッソだ。着火することもない安全なガスだ
100%の濃度の窒素ガスなら問題は無いが、化学プラントなどでは燃焼後の排ガスが不活性ガスとして使われることも多い
燃焼後であるから、大部分はチッソや二酸化炭素だ。これでも、可燃性ガスを除去して不燃性にするには十分だ
ところが、このような排ガスには、可燃性の成分が漏れ混んで入り込んでいることがある
それを知らずに、パージ用ガスとして使用していると当然発火事故を引き起こす
日本で、排ガスなどのパージガスを使っていて事故が起きた事例はは、今から半世紀前にわかっている
1964年四日市の合成ゴム会社で事故が起きている
ブタジエンという物質を取り扱う反応器の、ガスパージをこの排ガスで実施していた
ところが、パージに用いた排ガスにはブタジエンと反応する二酸化窒素という物質が漏れ混んでいた
この結果、ブタジエンと二酸化窒素が反応し反応器が爆発したのだ
この事故が起こるまで、日本で排ガスを用いた不活性ガスによる事故は起きていなかった。不活性ガスなら安全だと思いこんでいたのだ
ところが、プロセスから得られる排ガスは、時として他の危険な成分が紛れ込むことがある。縁切りが悪ければ、当然その可能性がある
この事故の教訓から、多くの企業は排ガスをパージ用ガスとして使うのは止めた
ところが、いまだに排ガスをパージガスとして使う企業は多い
コストメリットがあるからだ
排ガスをパージガスとして使うなら、少なくとも成分分析計は付けて欲しい。 可燃分がないことは、確認して欲しい
中途半端な不活性ガスは、事故を引き起こすという事実を見落とさないで欲しい
経済性と安全性のバランスをしっかり取って欲しい
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