日本の化学産業約100年-昭和初期 1930年代

1930年(昭和5年)にアメリカのシェル石油が天然ガスからアンモニアを最初に生産開始した
天然ガスを原料にする化学産業が現れたのだ。
日本で天然ガスを利用した化学工業が始まるのは、戦後の1954年だ。新潟のガス田利用が最初だ。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi1943/15/9/15_9_474/_pdf
1930年には、フロンを米国GE社の研究者が開発している
昭和初期、当時の日本人の平均寿命を調べてみたら46歳だという。現在とものすごい違いだ
50才定年でも、生きていられるかという時代だ
1931年5月26日、日本で記録に残る最初の大規模な粉塵爆発が起きている。製粉会社での粉塵爆発事故だ
http://www.belca.or.jp/12l4.htm
この企業は事故から色々なことを学んだのだろう。今でも粉塵爆発について情報を提供している
https://www.nisshineng.co.jp/news/tech-info10.html
1933年(昭和8年)にはイギリスICI社で、超高圧基礎研究中に偶然ポリエチレン合成法を発見したという
気相での超高圧法(2400気圧、140-250℃)だ。高圧法によるポリエチレン生産技術が始まったのがこの時代だ
いまでもこんな高圧を扱うのは大変なのに、大変な思いをして運転していたのだろう
1935年(昭和10年)には、世界初の合成繊維ナイロン6.6の合成に成功(米デユポン社のカロザース)
石炭と水と空気から作られ、鋼鉄よりも強く、クモの糸より細い、というのが当時のキャッチフレーズだった
1939年に日本でも石炭と石灰から製造するポリビニールアルコールを原料とした合成繊維ビニロン合成に成功している
ナイロンに次ぐ世界で2番目の合成繊維を日本でも造りだしたのだ
1939年5月9日日本でプラスチックの一種であるセルロイドによる大火災が起きている
セルロイド屑を運んできた貨物自動車の運転手の投げ捨てたたばこの火が、荷台のセルロイド屑に着火した
風にあおられ大火災となり多くの死傷者を出した
その年、ヨーロッパでは第2次世界大戦が始まり、時代は1940年代へと移っていく

 

2022年01月27日