重大事故は事故の本質も考えて欲しい

前回のブログで、新潟県にある大手菓子メーカーの工場で火災死亡事故をとりあげた。6人の方が、逃げられずに死亡した惨事だ
https://news.yahoo.co.jp/articles/74cb250fc4359019e908ec1af5851dfa9a1a08a3
油かすや製品くずなどが蓄積して火災が起こることは紹介した
油かすなどが引き金になっている可能性は高い。蓄熱自然発火の可能性もある
だだ、今回は火災とほぼ同時に停電が起こっているとの情報もあるので、着火源は電線などのショートという可能性もある
電線はショートすれば、火花を出す。火花が、油かすに着火すればこのような事故の形態となる
事故の原因について推定したものの、事故の本質についてはまだ調査報告書が出てこないので触れなかった
事故には、直接原因もある。しかし、事故は直接原因だけで起こっているわけでは無い
事故の本質となる背景が隠れている。世の中常に変化している。企業も厳しい時代を生き抜いている
そこには、当然色々な事故の間接的な要因がある
最近の重大事故を見て見るとこんなことを感じる。工場で働く人達の雇用形態が昔と大きく変わってきているからだ
昔は、現場で働く人は社員だった.だから、全員に教育や訓練が行われていた
ところが、1990年代にバブルがはじけてから、皆が社員という形態は無くなっていった
アルバイトがいたり、派遣社員がいたり、製造の一部や製品充填などを下請け会社の社員が請け負うようになった
工場での、指揮命令系統が大きく変わってきたのだ
日本の労働安全衛生法は、安全の責任は事業者、つまり雇用主と労働者(雇われた人)の雇用関係で規定している
つまり、給料を払う人である雇用主が変われば、別々の責任形態となる
つまり、派遣社員への教育、訓練は派遣会社自らがやる必要がある。製造請負の場合もそうだ。
法律というのは、指揮命令系統が違えば教育や訓練の運用もかわってくる
工場の安全担当者が、直接派遣会社の社員に、訓練に参加しなさいとは言えないのだ.派遣会社を通して依頼という形になる
そうなると、めんどうな作業も発生するので訓練は社員だけにしておこうなどという形態になる
雇用形態だけの問題だけでは無い.雇っている人も、ものすごく少なってきている.ぎりぎりで運営している
人が沢山いれば、いろんなところに目配りできる。しかし、人そのものが少なければ異常に気づくのも遅れる
今の日本が抱える人という問題だ

2022年02月23日