私の勤めていた企業でHAZOPを始めるきっかけとなった事故

HAZOPというのは1970年代にイギリスに始まった安全性評価の手法だ
ズレ、すなわち変化に着目して事故が起こらないかをチェックする手法だ
日本に伝わったのは、10年後の1980年代だ
1980年代というのは、今から40年以上も前の話だ
1970年代というのは事故が多発した。だから、事故の原因と対策を徹底的に研究した
ところが、事故から学んだのは、事故が起きてから対策を考えても遅いと気づいたのがこの時代だ
事故が起こるまえに、事故が起こるシナリオを考え事故の未然防止を図りたいと考え始めたのだ
そうは言っても、事故が起こるシナリオを考えるのはそう容易ではない
1980年代日本に伝来したのが、HAZOPだ。事故は、「ズレ」が原因で起こるという概念だ
温度や圧力が正常範囲から、逸脱すれば。事故につながるということに着目するのだ
温度、圧力というパラメーターの変化はズレだ。安全安定運転にとっては好ましくないことだ
このズレが、事故につながる可能性がある
ならば、このズレを基点に、どんな悪い過去とが起こるかというシナリオを想定し
それに、今ある安全対策で対応できるのかを考えてみようというのがHAZOPだ
反応器で温度が上昇すれば事故につながる。ところが、温度上昇を検知して警報を出す道具が設置されていなければ異常には気づかない
異常に気づく道具があるか、まずチェックするのがHAZOPだ。警報が無いのに人は異常には気づかないからだ
私の勤めていた会社でこの事故がきっかけで、HAZOPを始めるようになった。こんな事故だ。1983/3/5の事故だ
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000148.html
窒素シールもあった廃液タンクの事故だ。質素シールがしてあれば誰も爆発が起こるとは考えない
ところが、廃液量が多く、しかも廃液から大量の酸素が発生し爆発混合気ができて爆発した事故だ
酸素は、廃液中に含まれる過酸化物である「過酸化水素」とタンク内のアルカリ液とで発生した
過酸化水素は、アルカリだと、酸素を発生するという混触危険性を理解していなかったのだ
たかが廃液タンクだと思わないことだ
あなたは、この事故を、HAZOPで見抜けるか検証して欲しい
かなり、事故の予見性を見抜くのは難しい
安全性評価をすれば事故を防げるわけではない。見抜には豊富な事故事例を知っておく必要がある
安全性評価はそんな甘い物では無いということだ

 

2022年07月03日