HAZOPをやる前に知っておくべきこと 機器の種類毎に起こる事故のパターン

HAZOPという安全性評価手法がある。「ズレ」をキーワードにして事故が起こるシナリオを考えるのだ
流量が減ったとか増えたとか、正常運転からのズレでどんな危険なことが起こるのかを考えるのだ
HAZOPを教える機会があるときに、こんなことを皆さんに言っている
まず、HAZOPの手法を習う前に、徹底的に機械の種類毎に起こる事故のパターンを身につけて欲しい
企業にも、HAZOPを導入するなら機器の種類毎に事故のパターンを書き出した一覧表をまず作成して欲しいとアドバイスしている
やみくもにHAZOPをやるのではなく、機器毎に着眼点を養って欲しいと入っているのだ
なぜならば、過去の事故事例から機器の種類毎に事故のパターンはわかっている
同じような事故が世の中で繰り返し起こるのだから、機器の種類毎に事故のシナリオパターンを理解させて欲しいのだ
例えば、ポンプを例に取ろう
ポンプの吸入側で流れ無しと言えば、空引きがおこる。時間が経てば、逆流が起こり事故につながるシナリオがある
ポンプの吐出側で流れ無しと言えば、締め切り運転事故の事例がある。短時間で液温が上昇する
仕切り板を抜くのを忘れていたという事例も多い
例えばこんな事故だ。液温上昇で、メカニカルシールが壊れ可燃物が漏洩着火というシナリオになる
http://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/magazine/188/kikenbutsu_jikokanren_info.pdf
流体が温度に敏感な過酸化物であれば、温度増というズレにより爆発か破裂事故になる
ポンプの吐出側弁を閉めて、吸入側に戻す循環運転を考えてみよう。液をグルグル回しにすると、やはり少しずつ液温が上がっている
結果として、過酸化物のような流体なら温度増というズレでやはり、爆発か破裂事故をこす
こんな事故事例がある。循環運転をすると温度が上昇するという知識が不足していたようだ
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0200051.html
ポンプの種類によっても事故のパターンがあるので資料を集め整理しておくことだ
往復動ポンプは、締め切り運転をするとものすごく高圧となる。HAZOP的には出口側流れ無しのケースだ
ポンプ出口側につながる機器の耐圧が無ければ、機器が破裂する。ガラス式ローターメーターやサイトグラスはいっぺんで破壊される
対策としては安全弁を設置することになる
キャンドポンプは、内部で冷却用パイプが詰まり爆発して事例もある  http://www.shippai.org/fkd/cf/CB0021002.html
構造原理まで見抜けないとHAZOP的には事故は防ぐのは難しい事例だ
HAZOPをやる前に機器毎に起こる事故のパターンを徹底的に身につけて欲しい

 

2022年07月11日