事故や災害に思う

 プラスチックのペレット原料作成や、成形加工では押し出し機という機械が使われる。プラスチックは、温度を加えると溶けて加工しやすくなることから、溶けたものを押し出して加工することから押し出し機と呼ばれている。

 このような機械を扱う工場でも、爆発や火災の危険性は存在する。プラスチックは可燃物だからだ。原料は、粒状のペレットというプラスチックの米粒のような塊や粉体が使われている。粒なら問題が無いのだが、切り子や粉体などでは当然加熱すると分陰ガスにより爆発が起こることがある。

 押し出し機は、高温で原料プラスチックを溶かすため温度が高いというのが事故の要因になる。押し出し機を取り扱っている人は、温度が高いことはあまり気にかけないようだが、化学の世界は暖めることは事故の可能性を高めることだと理解しておく必要がある。

1989年10月4日に、死者14名を出す押し出し機の爆発事故がある。インターネットで探してもさっぱり出てこないが、韓国のLUCKY社で起きた事故だ。押し出し機からこぼれていたABS樹脂が着火爆発した大事故だ。

 書籍「火災爆発事故事例集」<安全工学協会編>(コロナ社)78~81頁 にその記事がある。

当時この情報は、業界内で一斉に流されたものだが30年も経つと忘れ去られるのだろうか。事故は繰り返すと言うが、まさに貴重な事故の教訓が伝えられないから繰り返し起こるのだろう。

2017年05月30日