溶解度を甘く見て起こる事故 灯油はガソリンを吸収する性質がある

物質に関する情報として溶解度というものがある
SDSにも溶解度は書かれているが,それほど「溶解度」とい語句を気にする人は少ないはずだ
気体が液体などに溶け込みやすさという指標だ
たいしたことではない指標と思うのだろうが、やはり過去この溶解度が事故に関係している
昔、製油所で頻発した事故だ
1960年代ガソリンを積み込んだあと、灯油をタンクローリーに積み込むと事故が多発した
ガソリン運搬後灯油を積み込んだことにより事故が起こっていた
なかなか原因が突き止められなかったが、原因はこうだ
溶解度が関係した事故だ
灯油は、ガソリン蒸気を急激に吸収する性質がある
タンクローリは,灯油を積み込む前はガソリンが入っていたのだからローリーのタンク内にはまだガソリンの蒸気などが残っている
しかし、ガソリン蒸気で満たされていれば爆発範囲には入らない
ところが、灯油を積み込み始めると、タンクローリー内のガソリンガス濃度が急激に減る
灯油はガソリン蒸気を吸収してしまう性質があるからだ。つまり,溶解してしまうからだ
ガソリン蒸気が減ることは一見良いように見えるが、高濃度のガソリン蒸気が下がって爆発混合気の濃度になってしまったのだ
ガソリンは濃すぎてしまえば爆発混合気にはならないが、ほどよく濃度が減ると爆発混合気になってしまうためである
その後30年経過した後でも、このようなことはやはり技術伝承されずに,1990年代にも同じ事故が起こっている
作業手順書には反映されていたものの、そこに書かれている意味が作業者は十分理解できず再発した事故だ
「なぜ」がわからないと事故は起きる。溶解度などはよほどしっかり教育しないと理解されない物性値だ
手順書に手順が書かれていても,なぜそういう手順で作業をするのが,書かれていなければ人は納得しなければ事故を起こす
タンクが凹む事故がある。溶解度が関係している事故を紹介する
アンモニアを貯めるタンク内に誤って水を入れてしまった事故だ
タンク内のガスが急激に水に吸収されてタンク内が負圧になり変形してしまったのだ
https://www.khk.or.jp/Portals/0/resources/activities/incident_investigation/hpg_incident/pdf/2008-272.pdf
物質危険性に関する教育は難しい
溶解度が原因で起こる事故も教えて欲しい

 

2022年10月31日