気液混相流で起こる事故
物性というのを考えて欲しい
化学物質は、温度や圧力の条件により様態は変わる
液体であったり、気体であったり、固体だったりする
物質の様態の変化に関心を寄せて欲しい
化学装置の中で、流体は変化する。液体が気化したり、液飛沫を分離したり様々なことを行っている
気体と液体を分離することがある。気体と液体が混在する装置では色々な事故が起こる
気液分離槽という容器に穴が開いて爆発した事故だ。容器中に気体と液体が混ざった物を入れて、液とガスを分離して液を回収する装置だ
高速で気液が入り込むので、スプレ-ノズルを取り付け流速を落として分離させていた
とはいえ、容器の壁にこの気液が長期間衝突したことによりエロージョンコロージョンで穴が開きガスが漏れ爆発した事故だ
企業は、原因を調査し調査報告書を公表したものの、実は10年前にも同じようなトラブルがあり、官庁にも届けず無断で修理したことがわかった
社内の調査委員会のメンバーもそれを知っていたのにかかわらず、調査報告書には過去の事例は記載しなかった
更に調べると、同社の他工場でも高圧ガス保安法で定める手続き通り検査もせずに工事を行っていたことがわかった
結果として、高圧ガスの認定も取り消され、社内の経営陣も責任を取って社内処分も行われた事案だ
https://ceh.cosmo-oil.co.jp/csr/publish/sustain/pdf/2006/sus2006_05-06.pdf
機器の内部構造を変更したことにより起きた変更管理に関わる事故だ
https://www.khk.or.jp/Portals/0/resources/activities/incident_investigation/hpg_incident/pdf/2006-082.pdf
安易に、気液分離方法をバッフル方式から、スプレーノズル方式に変えればトラブルの再発は起こらないと判断したのかも知れない
気液が分離している2層流というのはエロージョンコロージョンの事故が起こり易い
定点検査で肉厚検査をしていると、減肉箇所を発見できないこともある。場所が数センチ変わっただけでも、削られ方が変わるからだ
2層流の事故事例を紹介しておく
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0200098.html
https://www.khk.or.jp/Portals/0/resources/activities/incident_investigation/hpg_incident/pdf/2007-123.pdf
https://www.khk.or.jp/Portals/0/khk/hpg/accident/jikogaiyouhoukoku/2019-353.pdf
法規制のある機器を変更すれば、当然許可や届出が必要になってくる。時間もかかる。時間がかかれば生産損も出ると考えたのだろう
企業倫理を現場の末端まで徹底するのは難しい
たかが変更管理と考えないで欲しい
変更すれば、法に関わることも出てくると教育周知して欲しい