バルブの誤操作が事故につながる
バルブの誤操作による事故事例は多い。
ヒヤリから大事故に至るまで、化学工場の現場で起こるヒューマンエラーの中で主要な事故要因ではないだろうか。
誤操作の原因は様々だ
多いのは「忘れる」だ。開けるのを忘れたというのもあるが、閉めるのを忘れたという方が致命傷になることが多い
ドレン弁を開けていて、ちょっと現場を離れたケースだ。帰ってきたら、油が流れ出ていて着火した事故も多い
勘違いと思い込みも多い。本来開ける弁を閉めてしまったり、その逆もある。無知や教育不足、図面の確認ミスだ
本来動かしてはいけない弁であれば、施錠して欲しい
現場の標識表示や行き先表示が無くて誤って別の弁を操作する事例も多い。標識表示は充実して欲しい
複雑な配管で間違える事例は、ほとんどが表示の不備だ
バルブ配置が悪いという事例もある
本来正面から弁が操作できるならいいが、弁周りの空間が複雑で、逆手で弁操作をしていて勘違いして事故になることもある
配管設計時のレイアウトで、事故が起こりにくい環境をつくって欲しい
緊急停止時の操作が複雑だったという事故事例もある
新人にバルブ操作を任せ大きな事故になった事例もある
http://www.hamamatsusogo.com/hanrei/scs631027k42-8-1109.html
日本では、1973年という年にものすごく多くの事故が起きた。
1960年代にコンビナートができはじめ、1970年代には規模も大きくなり人が機械について行けなかった時代だ。
その頃、安全関係で多くの論文を出されていた横浜国立大学の井上さんのいい文献がある。
「化学工場における最近の災害事故と防止対策」というタイトルで、1974年にでた文献だ。
下記のURLからダウンロードできるので興味のある方は読んでほしい。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hpi1972/12/4/12_4_184/_pdf
この文献の中では、S44年当時の事故とS48年の事故多発時の比較やバルブ誤操作というヒューマンエラ-に関する考察がある。
今でも教訓として使える貴重な情報があるので1度目を通してみてはいかがだろうか。