大型タンク内での火災死亡事故から学ぶこと

今から約20年前の1月、大型タンクの清掃中に5人が死亡する事故が日本で起きている。2006/1/17の事故だ
http://khk-syoubou.or.jp/pdf/accident_case/manabu_18_2_3.pdf
浮き屋根式の原油タンクの開放のため内部を清掃中に起こった事故だ。直径は約75M、高さも24mある大型タンクだ
エアーラインマスクを付けた作業員が中に入り、タンク底部にある残渣を軽油で溶解させポンプで回収して取り出していた
換気はしていたが、大型タンクで完全には換気ができていなかっため、スラッジから軽質分が気化して,爆発混合気を形成し爆発したといわれている
原油残渣の引火点は-20℃だ。何らかの着火源があれば簡単に火はつく
主要な再発防止策は、事故報告書に4つ書かれている
1つ目は,極力無人で洗浄する工法を取ると言うことだ
つまり、人が入る前に内部にある可燃性ガスを発生するスラッジを可能な限り無人状態で取り除くこと
原油洗浄と温水洗浄を併用し、無人作業でタンク内の油分・原油スラッジをできるだけ回収するという
危険作業は無人化することでリスクを減らすということだ
2つ目は。タンク内へ人を入れるときの許可基準を見直したという
作業中は、可燃性ガス濃度(1,400ppm以下→500ppm以下)を引き下げた
3つ目は、ガス検知の強化だ。さらに、タンク内部全体の可燃性ガス濃度および酸素濃度の測定ポイントを増やし、測定方法も工夫するという
タンク内作業場所に可燃性ガス検知器および酸素濃度計を常設し、異常に早く気づけるようにした
作業員の一人以上は携帯式の可燃性ガス検知器および酸素濃度計を常時携帯するように改善した
異常に早く気付けば事故のリスクは減るからだ
4つ目は発火源の削減だ。工事用電気機器のタンク内持込の制限を強化したという
この事故では、作業員の一人が「スタンド式の投光器が倒れ、しばらくして火が出た」と証言している
投光器は防爆型のスタンド式照明装置で、3台設置され、約1.4mの高さに位置に調整されていたが、固定されていなかった
このうちの1台が転倒していることが確認され、着火源は投光器による可能性が高いとみられていた
実証テストが行われたが、断定できる結果は得られず最終的には原因は不明とされている
とはいえこんな報告書もある。静電気が着火源だった可能性もあると言う。参考にされたい
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/pdf/saigai_houkoku_2014_03.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/50/2/50_101/_pdf/-char/ja
タンク内清掃に関する貴重な事故の教訓だ。活用して欲しい

 

2023年01月30日