技術伝承の難しさ --文字だけで伝えるのは限界がある

数日前に、腕時計が1分ずれているの気がついた。
電波時計で、狂うはずが無いと思っていたのに狂っていたのだ。
早速、取扱説明書を引っ張り出して調整を始めることにした。
Aボタンを押して、強制受信をさせて現在時間を確認せよ。
基準となる日時が合っているかBボタンを押して確認せよと取扱説明書には書いてあった。
指図道理にやっのだけど、うまく復旧しない。
どんどん深みにはまっていき、なんだかおかしな時間を時計がさすようになる。
あとで、落ち着いて取扱説明書を読み直すと、「読み違えていた」ところも有るのに気づく。
何秒以上ボタンを押せとは書いてあるが、その後結果が出るまでどのくらいかかるとは書かれていなかったからだ
「すぐに結果が出る」と思い、何かのボタンを次にすぐに押してしまい結果としてエラーになってしまっていたのだ。
説明書を書いている本人は、十分時計の機能はわかっているから「操作をしたらしばらく待つのは」あたり前のことだと思っている。
でも取説を読んでいる人はわからいことだらけなのである。当然、早く問題を解決したいのだから、それほど多く待つことはない
わかりすぎている人が、文書でちょっとしたことを書くのを省略しているからこのようなミスマッチングが起こる。
作業手順書や運転マニュアルでも同じような問題を起こしている
ベテランは常識だと思うことは、「書かない」ことが多い。常識が省略されてしまうという問題点がある
過去にもこんな事故がある。大量のベテランが退職し、大量の若手が採用された時期に起きた「自動弁が突然開いた」大事故だ
https://www.shippai.org/fkd/cf/CZ0200807.html
ベテランが書いた作業手順書を若手が読んで作業していたとき大量の油が噴き出した事故だ
ベテランが書いた手順書には、空気で動く自動弁が誤って動かないようにするのは常識だから「空気を止める」とは書かなかった
空気を止めずに作業したことにより起きた事故だ
当たり前という価値観は、全く門外漢の人には適用しない。
特に、始めてトラブルに遭遇した人は「当たり前」というのは全く想定外の出来事だ。
文章で、人に何かを伝えるのは難しい。
相手のレベルが良くわからないときは特に難しい。年齢だけで相手のレベルがわかるわけではないからだ
私も色々な人に講義をするが、相手の理解度がどのレベルに有るのかを見極めのにかなり注意を払う。
説明のしかたが、易しすぎても問題がある。難しすぎても当然問題はある。
人に技術を伝えるのは難しいものだ。口だけで伝えられることにも限界はある。
人は、文字だけではなく、写真やイラストを使うなどしてイメージを加えて色々なことを捉えている。
写真やイラストなどのイメージは、文字にすると数百文字分の情報が含まれているという
文字や話し言葉だけではなく、写真。イラストや映像を併用して上手に技術伝承をしてほしい

 

2023年02月27日