ホットボルテングで起こる事故
配管の接続方法には「溶接」,「フランジ」,「ネジ」の 3 種類を使い分けて使用するのが一般的だ.
溶接で接続すれば,漏れが起こる確率は少ない.漏れてはいけない可燃性流体や,毒性ガスなどにはこの溶接方式が使われる.
フランジは,何かあったとき取り外して点検したり出来るのが利点だ
ところが、フランジはボルトで締め付けることから事故が起こり易い
締め付け力が足りていなければ当然漏れる。可燃物が漏れれば火災へとつながる
フランジを使うとやっかいなのがこの漏れである
更に装置の温度は一定では無い。常温から徐々に加熱していく作業もある。
逆に、停止する為温度を下げていくこともある
ボルトは、金属でできているから、温度変化により伸びたり縮んだりする
温度変化の大きいところであれば,フランジの締め付けボルトが熱で伸び縮みして締め付け力が緩む
そこで、スタートアップやシャットダウン時には、「ホットボルテング」と呼ばれるボルトの増し締め操作が行われる
低温系では、温度を下げていくときやはり「コールドボルテング」という締め付け管理が必要となる
ホットボルテングが事故の原因として理解され始めたのは、1970年代ころからだ
最初の頃は、増し締めするタイミングが理解できていなかった
ホットボルテングを300℃から始めて漏れた事例もある。事故後、200℃からホットボルテングを始めたという事故の記録もある
1回しかホットボルテングを実施せず失敗した事例もある
温度の変化が大きければ、1回やればいいわけでは無く、温度上昇の過程毎に繰り返す必要もある
また、大口径のフランジはホットボルテングは必要だが、小口径は不要との誤解も多かった
温度が変化するなら、口径にかかわらずホットボルテングは必要だ
温度を変化させるスピードも影響する。1時間当たり100度も変化させ漏れたという事例もある
事故後、昇温スピードは50度/時に変更してリスクを減らしたそうだ
温度の変化も漏れには重要なキーワードだ
フランジの熱応力に関するいい文献があるので紹介しておく
https://www.pecj.or.jp/japanese/safer/management/pdf/no-2.pdf
温度によるボルトのゆるみを甘く見ないで欲しい