保護具の選定は最悪の事態を考えて選定せよ
保護具に何を使うかはよく考えて欲しい。目を守るのであれば、メガネを使う
ゴミや塵の飛散物から目を守るのであれば、ガラスを強化した保護メガネ(平メガ)が使われる
しかし、薬液から目を守るのには、これでは不十分だ 上下や側面から飛散した液が入ることがあるからだ
では、ゴーグルでいいかというとそうでもない 完全に密閉したゴーグルでは曇りがでるから、一部に空気抜きを設けているゴーグルもある
この空気抜きから薬液が入り込んだ事例もある
そうなると、ゴーグルの外側に透視面という透明のお面のようなものを併用することになる
こうすればほぼ100%に近い確率で目の保護が可能になる
ある化学工場での定期修理中で起きた猛毒のシアン系設備を洗浄中に起こった作業員の中毒死亡事故が起こっている
熱交換器という装置の中を高圧の水を吹きかけて、内部を洗浄する作業中作業員が死亡した事故だ
洗浄機器の中に残っていた猛毒のシアン化水素(青酸)を含んだ液を吸い込んだか飲み込んだという
https://www.sumitomo-chem.co.jp/news/detail/20220113.html
270PPMで即死と言うから、微量吸い込んだだけでも死にいたる物質だ
高圧の水を吹きかけて装置の中の残留物を吹き飛ばし除去する作業をしていた
作業員はゴムでできた作業着と、顔の部分には保護カバーの付いたマスクを着用していた
今までこの作業は、15年間行われており事故は無かったという
ところが、今回死亡事故が起きてしまったのだ
高圧ガス保安協会から事故の報告書が公開されている
https://www.khk.or.jp/Portals/0/khk/hpg/accident/2022/02_2021-000.pdf
作業員の保護具は単なる顔を水しぶきから守るゴム製マスクだけだったという
このマスクは、呼吸のために小さな穴が開いていてそこからガスを吸い込んだか、液が入り込み口に入り5日目に死亡したという
問題点は何かというと、完全密閉型の保護具を使っていなかったと言うことだ
私が以前勤めていた企業でもこの有毒なガスを製造していた。やはり、過去に死亡事故が起きている
猛毒の物質の洗浄作業なのだから、本来は万一を考えエアーラインマスクを使うべきだったのだろう
保護具に甘さがあつたと言うことだ 今まで事故が起きなかったのが不思議なくらいだ
猛毒の物質を使う企業は他にも沢山ある 今まで事故が起きなかったから、今の保護具で安全と言うことではない
命に関わる作業での保護具は、ワンランク上の保護具の採用も考えて欲しい
保護具の選定は最悪の事態を考えて選定して欲しい