自動弁が突然開く重大事故は繰り返し起きている

工事の安全管理の中で、「縁切り」という重要な作業がある。危険な物を遮断する作業だ
工場には、危険なものが沢山存在するから、この作業は非常に重要だ。
可燃物が外に出てきてしまえば、火災になる。毒性ガスや、窒素などが漏れ出せば、人は中毒になったり、酸欠になる。
化学工場などは、色々な装置と配管でつながれている。
万一配管を伝って、これらの危険な物が漏れ出せば事故になるから、この縁切りという作業が必要になる。
つまり、「縁切り」とは危険なものを確実に遮断する作業だと考えて欲しい。
配管のフランジ部などに、仕切り板(ブランク版と呼ぶこともある)といわれる金属製の板を挿入して遮断するのが一般的だ。
手動弁を閉めて、縁切りする方法もあるが、バルブは漏れることも考えておく必要がある。
したがって、手動弁を使う場合は2つのバルブを同時に閉めておく必要がある。
つまり、2重にして縁切りの信頼性を確保する方法だ。
一番危ないのは、手動弁ではなく自動弁を使う方法だ。しかも、自動弁を一つだけ使って、縁切りする方法だ。
自動弁が突然開いてしまえば確実な縁切りとはならない。人が間違って、弁を動かして開けてしまうこともあるからだ。
計装空気などで動く自動弁であれば、空気が停止すれば動き始めて弁が突然開いてしまうことがある。
自動弁が意図せず開いてしまうと、可燃物や危険なガスが外に漏れ出し重大な事故につながる。
このような事故は繰り返し起こっているのだが、案外知られていない。
公開されている以下の出典を見て過去の事故事例を勉強して欲しい。
1973/10/8 停電で誤って生きている反応器の自動弁を開き4人死亡 http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000146.html
1987/12/10 自動弁一つで縁切りしていてタンク事故 http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000086.html
1989/10/23 アメリカで23人死亡 https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/30/2/30_122/_pdf/-char/ja
1994/4/14 大口径自動弁で縁切りして漏れ出し http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000006.html
2003/7/9 一酸化炭素漏れ出しによる中毒事故 http://www.joshrc.org/~open/files/20031118-001.pdf
2007/12/21 高温油漏洩火災で4人死亡事故https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/pdf/saigai_houkoku_2016_10-2.pdf
自動弁一つだけで縁切りをすることは、大変危険だと仲間にも伝えて欲しい

 

2023年10月08日