重大事故のキーワード 生産優先、ルール無視と休日夜間

多くの事故を見てくると、その事故本質的な原因を表す事故のキーワードがある
1991/12/22の日曜日に大阪で起きた死者8人の死亡重大事故を今回取り上げる
https://gcoe.tus-fire.com/archive_cms/kobayashi-k/cms/wp-content/uploads/2010/02/3ea56a8dae51cb3a9f18f3f5b77a24f3.pdf
この工場はケーキやチョコレートなどの食用油を作る工場だ。事故はクリスマスの数日前だから、その食用油を大量に作っていた
ところが、突然機械が停止した。急いで機械を修理しなければ、生産上重大な問題を起こすと現場の人は考えたのだろう
生産優先の気持ちが働いてしまったのだ
本来、装置の中に入るのは3時間以上パージしなければいけないのに、1時間で装置の中に入り作業を始めた
これが一つ目の過ちだ。ルールを無視して生産を優先させたのだ
二つ目の過ちは、ガス検知もしなかったことだ。装置では、引火点-22℃のヘキサンという物質を使っていた
引火点が低いから、何か着火源があれば簡単に火が付く
事故が起きた日は、日曜日だった。休日だから、工場には管理者はいなかった
管理者がいればどこかでブレーキがかかったのかも知れないが、残念ながらブレーキはかからなかった
装置の中に10人ほど入り作業を始めたとたん爆発火災が起こり多くの人が被災した事故だ
この事故から見える事故のキーワードは、「生産優先」、「ルール無視」、「休日夜間は管理体制が弱い」だ
この企業は事故が起こる前から何度も事故が起きていた。
火気工事での着火事故が何度も起こっていることを見ると前からガス検知で安全を再確認する文化は根ずいていなかったように思える
事故後労基から事故防止の通達がでている。通達文だけを見ると単調だが意図はこうだ
一つ目は作業規程をしっかり作れだ。作業方法や手順は文字に書いて見える化しろと言うことだ
その上で教育や訓練もしろといっている。文字に書かれていても、その背景を説明しておかないと人は納得しないからだ
人は納得しないとルールを守らないと考えておくべきだ。符落ちさせることが事故防止につながる
人は頭でわかってもなかなか行動には移せない。頭と体が一体で動くようにしておく必要がある。訓練をしておけば,頭と体が動くようになる
次に管理体制をしっかりせよといっている。人が集まると指揮者がいる。指揮者を決めて管理しなければ烏合の衆になると言うことだ
次は、工事前の最後の砦である可燃物の濃度測定を行えとしている。当たり前のことだが、これが徹底せず事故が繰り返し起こっている
最後は、安全意識の高揚を図れといっている
これは企業トップが安全の旗を振らなければ事故は防げ無いと言っているのだ
安全に関しては,企業トップの関与が強く求められている

 

2024年03月30日