HAZOPでは循環プロセスにも着目して欲しい
今から10年前に起こった事故だ。千葉県の市原にあるゴム製造工場で起こった 2014/8/12の事故だ
HAZOP 循環系ポンプの空引きが引き起こした爆発事故だ
この事故は、事故を経験した当事者からの話を聞いたので今でも詳細を覚えている
スタート時ポンプから液を送っていたときに、突然ポンプが空引きを起こしたのがきっかけの事故だ
事故の概要はこうだ。スタート時、タンクから液をポンプで送り出していた。液面低下の警報は鳴ったが気づかなかった
当然、タンク内の液が無くなり、あっというまにポンプは空引きを起こした
すぐに,ポンプは停めたものの,循環プロセスだったため、圧力のあるドラムから大気圧タンクに液が逆流した
圧力差があれば,当然逆流が起こるのに逆流防止弁は設置していなかった
この大気圧のタンクは通常は,水が成分のタンクなので,危険物エリアではなく一般建屋内に設置されていた
非危険物という考え方だから,建屋内は防爆の電気機器はつけられていなかった
タンクは、開放型で、しばらくして液が溢れ出て室内に漏れ出した
逆流により,可燃性溶剤も混入していた。当然夏場で、溶剤も気化して、室内に可燃性蒸気が拡散していた
しばらくして何らかの原因で着火爆発が起こった。この事故をHAZOP的に解析してみるとこんなことがわかる
①HAZOPは、危険物エリアしか実施していなかった。事故部分は,非危険物工程だった。
事故後、ノンコードの工程もHAZOPを実施することにしたという
②スタート時のように、忙しくてうるさいときには警報を見逃すリスクに対して、対策を考えていなかった
③ポンプの空引きを起こしたタンクは、液面調節計は設置されていた。ところが、スタート時だったため,マニュアル状態だった
マニュアルにして運転しているという,情報が運転チーム内で共有されていなかった。
運転ミーテングは全員集合方式ではなく管理者だけで実施していたからだ。事故後全員方式に改められた
タンクに液面低下警報があるから大丈夫だと思い込まないで欲しい。聞き漏らすこともあるからだ
ポンプの空引きが重大な事故を起こすことがある。逆流対策もしっかり考えて欲しい
事故の原因と対策が詳細に書かれた報告書があるので参考にして欲しい
https://www.khk.or.jp/Portals/0/resources/activities/incident_investigation/hpg_incident/pdf/2014-211.pdf
HAZOPとして、この事故の教訓は「循環系のタンク」ということもポイントだ
循環系は、どこかバルブを閉めたり、ポンプが停まればバランスがくずれ関係するタンクが溢れるリスクが高いと言うことだ
開放形の部分があれば必ず漏れ出すと思って欲しい
HAZOPでは循環プロセスにも着目して欲しい