電気火災の原因や重大事故
企業は製造設備そのものには、リスクアセスメントを実施するが付帯設備などには関心が薄い。倉庫がその一例だ。
電気室は、工場のエネルギー源である重要設備だが、その管理は電気を取り扱う専門家に任されている
電気の専門家以外の人間のチェックの目が入りにくい。怖いのは、電気火災だ。
電気火災の原因は、短絡だ。早い話がショートして火花が出るからそれが着火源になる。近くに燃えるものがあれば火が付いてしまう。
JRの変電所で起きた短絡事故を紹介しておく。事故の3日前の地震が影響しているという。短絡で火が出たと言う。
本来なら安全装置が作動して電気は停まるはずが停まらなかったという
https://www.jreast.co.jp/press/2022/20220412_ho01.pdf
電線類はプラスチックで出来ているものもあるから火が付く。接触不良が原因という電線が燃える電気火災もある。
電線などは、ネジ止めしているものもあるのでネジが長期間にわたって増し締めをしていなければ緩んでくる。
接触不良が起こると、発熱して周りの燃える物に着火する。
電気設備の経年劣化が原因となる電気火災も多い。時間が経てば、電気設備も劣化する。
20年から30年経過した設備では、絶縁物の劣化でショートして火が付くケースが多い。
最近は、企業でも電気設備の劣化が進み老朽劣化による発火事故も多い。
電気機器メーカーの設計上の配慮が不足していた事故もある。2017年1月5日に、大分県の製鉄所での電気火災事故だ。
電気盤内にアクリル製の感電防止板があったことからそれが燃えたのがきっかけだ。
電気盤内にあるリレーが異常作動を繰り返したことも原因だ。
リレーを制御する装置が故障して何度もリレーの接点が作動したことにより放電火花が繰り返し発生したという。
初期消火がうまく出来ず次から次へと隣の電気盤へ延焼して、さらに周りの電線にも火が付き電気室全体が火災となった事故だ。
損害は300億円と報告されている。製鉄所は7ヶ月間運転できなかったという大きな事故だ。
事故の報告書が企業のホームページから出ているので、見て見ると良い
https://www.nipponsteel.com/common/secure/news/20170518_100.pdf
報告書にはアクリル板に火が付いたとある。アクリル板は電気の業界で、感電防止によく使われているが一般のアクリルは難燃性ではない
アクリルは一般的に可燃性だ。難燃性を高めるなら、塩ビを使う必要がある
電気室火災は、初期消火に失敗すれば消すのは難しい。水をかけられないからだ。
電気室のリスクアセスも電気の専門家だけに任せず企業全体で取り組んで欲しい。
電気設備は今使えているから、設備更新は必要ないと考える企業経営者が多いが、30年以上使えば事故の確率は非常に高くなる。
老朽化対策は長期計画でしっかりやっておかないと後で高いつけを払うことになる。