長期間停止した設備の再稼働時に事故が起きることもある
長期間停止した、原子力発電所を再起動しとときに事故が起こっている。
九州の原子力発電所を再稼働してしばらくして蒸気が漏れたという事故だ
配管からの蒸気漏れだと言うことだったので、ガスケットの不良かと思っていた。
世界のタンク事故情報を公開しているホームページを見ていたら、原子力発電所の蒸気漏れ事故の情報が細かく記載されていた。
2018年4月8日号の記事だ。写真もあるので興味のある方はみて欲しい。
http://tank-accident.blogspot.com/2018/04/blog-post_8.html
蒸気漏洩の原因はガスケットではなく、配管の腐食だと書いてあった、直径1cm程の穴が開いていたという。
蒸気の配管だから、当然保温がしてある、
通常、蒸気を流していれば保温材の中は温度が高いから、保温材の中に雨水が入っても蒸発してしまう。
ところが、長期間蒸気を停めてしまえば保温材のすきまなどからしみ込んだ雨水などは配管を腐食させてしまうことになる。
この原子力発電所は、約7年間という長期にわたって保温用蒸気を停めていたという。
蒸気配管の材質は鉄だった。腐食するには十分な材質だ。保温材の外側には、鉄が錆びたようなシミが付いていたという。
保温材を被った配管でシミが付いていたら、その場所で事故が起こる可能性があると思って欲しい。
鉄さびのようなシミであれば、内部で配管の腐食が進んでいると考えて欲しい。
もう一つ油のようなシミだ。配管の上のほうに油のようなシミがあるならそこから配管内部に油がしみ込んでしまったと考えて欲しい。
蒸気のような高温配管であれば、保温材にしみ込んだ油が温められ発火点を超え発火することがある。
油は新品の時の発火点と、古くなったものでは発火点が変わってくる。
過去の発火事故の文献などでは、油は古くなると発火点は新品時の2/3迄下がっている事例がある。
新品で発火点が300度だった物が、古くなり劣化すると200度くらいで着火するのだ
つまり、発火点が下がり、火が付きやすくなっているのだ。
更に、油は空気と触れて酸化するとき、酸化熱という熱を出すから保温材の中の温度は酸化熱も加わり相当高くなると思って欲しい。
現場をパトロールするときの感性を上げて欲しい。たかが配管にシミが付いているだけだと思わないで欲しい。
保温材の中で何かが起きていると考え、早めに保温材を外して点検することが事故防止の基本だ。
