塩素ガスが漏れた中毒事故に思う
化学工場で塩素ガス漏れ中毒事故のニュースが流れていた
https://news.livedoor.com/article/detail/29255988/
ガス漏れが起こり装置は停めたものの、ガス漏れが収まったのは2時間後という報道が流れていた
液漏れとガス漏れと被害の拡大範囲が違うと言うことを理解している人は少ない
配管から液が漏れても、配管下部に溜まるだけだ。工場外に影響が出ることはほとんど無い
ところが、ガス漏れは違う。ガスが漏れると軽いから風に流されあっという間に遠く逃がすが流れてしまう
秒速2~3mなら、1時間もガスが漏れていたら風下側に7.2K~10.8Kまでの範囲にガスが拡散してしまう
1時間では無く、たった10分漏らしただけでも、工場の漏れ地点から1.2K~1.8K流れる
かなり大きな工場でも、工場外に瓦斯が流れてしまうということだ
今回の事故では、ガス漏れを停めるまでに2時間もかかったようなので、かなりの広範囲に流れたのだろう
ガスが漏れれば、ガス検知器は鳴る。しかし難しいのは、どこから漏れたのかは特定は難しい
装置内に、まだ圧力が残っていればじわりじわりとガスが漏れる。プラントを停めたからと言って、ガス漏れが停まるわけでは無い
ガスは漏れ続け、工場の敷地外に出てしまう。液漏れとガス漏れの違うのは、ガス漏れは大気に流れ出てしまうことだ
一気に拡散するのが怖い。過去にも、塩素を漏らすこんな事故がおこっている
https://www.khk.or.jp/Portals/0/resources/activities/incident_investigation/hpg_incident/pdf/2008-300.pdf
https://www.youtube.com/watch?v=8eELS-3MKyI
https://www.khk.or.jp/Portals/0/resources/activities/incident_investigation/hpg_incident/pdf/2009-041.pdf
被害が拡大した要因は、装置の停止遅れが多い。原因を究明に時間を取り過ぎた事例もある。
行政の通報遅れもある。自分たちでなんとかしようとして、通報が遅れるケースだ
事故が起きたら、自分たちで何とかしようと思わないことだ。すぐに通報が基本中の基本だ
有毒ガスのガス漏れを甘く見ないで欲しい。塩素漏れなら、水をかければ塩素は簡単に水に溶ける
今回の事故も、どれだけしっかりした散水設備があったのかはわからないが
ウオーターカーテンなどで被害の拡大も最小限に抑えることもできる
今回ステンレス配管が漏れたというのも気になる。塩素はステンレスでは腐食する。
運転条件が変われば、腐食速度は変わる。運転条件が変わっていたのだろうか。材料選定が正しかったのだろうか?
今後の再発防止対策に期待したい