通報遅れで被害が拡大する事故に思う
化学工場で塩素ガス漏れ中毒事故のニュースが流れていた。通報の遅れで被害が拡大したという。
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20250731/5010029194.html
通報遅れが原因で被害が拡大した事故事例は多い
https://www.khk.or.jp/Portals/0/resources/activities/incident_investigation/hpg_incident/pdf/2009-041.pdf
https://www.sumitomo-chem.co.jp/news/files/docs/20090430_1.pdf
こんな資料があるので紹介しておく。消防庁から通報遅れの原因の資料だ
「異常現象発生時における通報の迅速化に係る検討報告書」といういい資料だ
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/index.pdf
資料では、事故等の発生時における消防機関等への通報状況は、発見から10分未満に通報が
行われた割合は32%(57件)にとどまり、10分以上が経過した後に通報が行われた割合が68%(120件)と過半を占めている。
発見から30分以上の長時間が経過した後に通報が行われた割合については34%(60件)と高い割合を占めている
さらに、火災及び爆発では10分未満及び10分から20分未満の割合が大きくなっており
漏洩及びその他については、30分から60分未満及び60分以上の割合が大きくなっていることから
火災及び爆発では通報が早い傾向があり、漏洩及びその他では通報が遅い傾向にあると記述している(2009年の事故分析)
報告書の概要を書いた資料もある
https://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/guide/magazine/139/contents/139_3.pdf
通報遅れで多いのがやはり漏洩だ。
爆発火災なら、火も出る。大きな音もする。出火場所も目で見える・だから、隠そうとしない限り、ほとんど通報がなされる。
漏洩は、火も音も出ない。ガス検頼りだ。ガス検が鳴っても、どこが漏れているかはわからない
ガス検が1つだけ鳴っても、人は誤報と考える癖がある。2つ以上鳴ったとき始めて、異常だと気づく
更に、人は、異常が起きると自分で何とかしようと思う。対応に夢中になり、結果として通報が遅れる
これを繰り返しているのが現実だ
いくら立派な通報システムがあっても機能し無い事例もある。現場に判断を任せすぎると、都合のいい判断で通報が遅れることもある
安全部門に通報を任せると、状況の確認に手間取りやはり遅れる。2つ以上のルートを組み合わせておかないと通報の抜けも起こる
通報遅れの対応は難しい
