今から55年前の今日、千葉のコンビナートで起こったタンク爆発死亡事故

もう半世紀前の事故だ。1970年の今日8月20に起きたタンク爆発事故だ
4人が死亡3人がケガをする大きな事故だが、ネットで探しても事故の詳細は出てこない
災害情報データーベースに2行書かれているだけだ
http://www.adic.waseda.ac.jp/adicdb/adicdb2.php?q=%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%80%80%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%80%80%E7%88%86%E7%99%BA%E3%80%801760
事故の記録は以下に残っていないかだ
千葉県の市原市にある化学工場で起こった事故だ
事故の概要はこうだ
石油化学工場でプロピレンを製造していたプラントの事故だ.
製造に伴い、廃ポリマーと廃メタノールが発生する。タンクの中にためて、処理をしているときにタンクが破裂した事故だ
廃ポリマーは粘度が高く少し温めないとタンクから抜き出しにくかった。そこで、タンクにスチームを入れポリマーを暖めていた
ところが、暖めすぎたことから、タンク内に含有するメタノールが突沸ししてしまった
タンクにはブリーザー弁はあったものの、大量に発生したメタノール蒸気は放出能力を超えた
その結果タンクの圧力が上がり、タンク天板が破裂。メタノール蒸気が天板から噴き出した
たまたま近くを通過していた協力会社のトラックのエンジンでメタノール蒸気が着火し爆発した。
トラックに乗っていた作業員はやけどで死亡した。作業をしていた社員も死亡。近くにいた人も死亡した。
事故のキーワードは突沸現象だ。物質は、沸点以上暖めれば、かならず突沸というリスクがある
突沸は大量の蒸気を発生するから、タンクのような密閉された容器であれば急激に圧力が上がる
放出装置はあっても、突沸のように一瞬に発生する大量の発生蒸気は放出不可能だ。結果としてタンクが壊れ、蒸気が漏れ出す
近くに着火源があれば引火する。この事故は、工場構内を走っていたトラックのエンジンかマフラーが着火源だ。
車両が着火源になると思っている人は少ないからこのようなことが起こる
可燃性ガスが工場内道路に漏れたらすぐに交通止めをするなど、いまは知らない人がほとんどだろう
車のエンジンは着火源と思って欲しい。フォークリフトのエンジンで着火爆発した事故事例も多い
この事故から、企業が学んだことはこうだ。製造プロセス本体だけのリスクセスメントをしていればいいわけではないということだ
製造に伴う廃液処理などの、本工程に付随する処理作業などにも潜在危険性が存在するということを学んだ
「廃」という字がつく設備での事故事例は多い 廃液タンクの火災、爆発、破裂事故だ
「廃」という字は、ハイリスクと思って欲しい

 

2025年08月20日